コロナ以来、結婚式や式典などフォーマルのお呼ばれが無くなり
正装の出番が減りました。
じざいやは 洒落着のセレクトショップなので
フォーマルは得意分野ではないのですが
着物を着る機会としてフォーマルのお席は外せないですね。
しかし、式典やお呼ばれが多い方でなければ
正装のお着物は上等のものを数少なくお持ちになるのがお勧めです。
着物はともかく、
1本あれば 正装の着物を着まわせるのが上質の爪掻き本綴れ帯です。
柄を選べば
お茶席や観劇、お食事会から 式典、結婚式までカバーしてくれます。
合わせる着物も
艶のある紬から色無地、江戸小紋、小紋、付下げ、訪問着、留袖まで。
この頃は 洒落袋、と称する 中途半端な袋帯が溢れていますが
本来の袋帯は 丸帯を簡略化したもので 格の高い帯です。
そして爪掻き本綴れ帯は フォーマルで唯一、
一重太鼓で正装になる帯です。
綴れ、という織そのものに格があるのです。
丸帯は江戸時代に創られた正装用の帯。
広幅に織った帯地を二つ折りにして片側を絎けたもので、
両面共に柄が出るので非常に豪華な帯になります。
丸帯という名前は広幅の織物を丸ごと使うことからですが
それだけに重く締め難いものではあります。
(フォーマルの場合、困難なものをあえて使う、というのは
相手に対する敬意でもあったと思いますが)
それを締め易くするため、明治の頃に裏を無地にしたのが袋帯で、
当初は縫い目を無くする為に袋状に織られていました。
だから、袋帯。
現在でも一部の織元で袋状の袋帯も織られていますが
多くは裏と表を別々に織って縫い合わせる縫い袋帯が主流です。
ちょっと話がずれますが、現在 デパートや多くの小売店では
名古屋帯より袋帯を多く扱っているのではないでしょうか。
展示会風景でも
山のように袋帯が積上げられているのを目にします。
着物が日常から離れて 特別な衣装となってしまった時に
豪華な袋帯が沢山作られるようになりました。
多くのナショナルチェーンが売り出したのは
「なにかあった時」や「お稽古」、「気楽なパーティ」など
いつやってくるか判らない、「着なくてはいけない時」のために
「持っていた方がいいですよ」と言われて そのまま
箪笥の中で出番を待っている着物や帯たちでした。
普段使いの名古屋帯より
豪華で見栄えのする袋帯は
柄も多く値段も高く出来るので
メーカーも袋帯の生産に力を入れるようになりました。
洒落物用の名古屋帯を織る機械を減らし
袋帯用の機械ばかりになってしまったのです。
しかし「着なくてはいけない時」はなかなかやってきません。
箪笥の肥やしが増えれば
着る側だって使わない帯や着物を増やすのは
考え物だと気が付きます。
そこで 袋帯用になってしまった織機で
金銀を減らしたり 柄の格を落としたりすることで
洒落物にも使える帯ですよ、と
洒落袋と称する帯を織り始めました。
しかし 洒落袋、ってなんだか中途半端で
ちっともお洒落じゃないんです。
長さは袋帯なので二重太鼓の重々しさを持ちつつ
柄はいきなり 猫や野菜だったり・・・
格の低い柄なら 一重太鼓の名古屋で
サラっと着るのが粋、ってもんじゃないでしょうか。
しかし 本物の手織りで格の高い文様の袋帯は
着物の格と質、着る人の人格までも高く見せてくれます。
有職文様などは流行に左右されることなく
また年齢も広く使えます。
正装はお洒落に見えることよりも
格調高く礼儀に合ったものであることが大切です。
コーディネイトの妙や季節感で
帯をとっかえひっかえで楽しむのではなく
相手に礼を尽くす気持ちをあらわすのが正装。
1つの記号でもあります。
ですから 本当に質の良い帯は数は少なくても事足ります。
そのためには 絶対的に良いものである必要はありますが。。
良いもの、とは
見た目が華やかだとか金銀でゴージャスだとか
柄がてんこ盛りだとかではなく
きっちりと確かな仕事がしてあるもののことです。
この頃は そのようなものが本当に少なくなりました。
今、だからこそ 本物、良いものを見抜く目を育ててください。
これからは 数より質の時代がやってきます。
フォーマル以外の洒落ものでも
良いものは 飽きがこず、
長く使えて結果的にはお買得になるものが多いのです。
1つ1つ丁寧に手織りされた爪掻き本綴れは
しなやかで 張りがあり、締め心地がよく、着姿が綺麗です。
着物好きなら1本は持っていたい帯です。
織元から直接届きますのでデパートよりかなりお安くご提供できます。
いつかは・・とお思いの方はお気軽にご相談ください