昨日 チラ見せしました天蚕の手おりの中の手織り・・・。
ビックリするくらい 美しい布です。
天蚕の着物って 座繰りの光沢でピカーてかー というのが多いのですが
広瀬さんは 真綿に天蚕を入れているので
ふっくらした光沢の中に天蚕の艶が引き立ちます。
黄色っぽく見えるのが天蚕の糸です。
そもそもの天蚕についてお話しましょう。
天蚕・・・カイコ(家で飼うから飼蚕(かいこ)に対してヤマコ(山蚕)とも呼ばれます。
養蚕される家蚕と違い、野生のものですが
現在は天蚕農家は廃業してしまい 安曇野天蚕センターで飼育管理されています。
飼育と言っても 家蚕のように室内に居るのではなく
餌となるクヌギやナラ、カシワなどの樹木ごとネットで囲って
(1本1本の木にネットをかけるのではなく
大きなビニールハウスをネットで作ってその中に木を植えている)飼育しています。
1本の木で10匹ほどの幼虫を育てます。
野生なのだから勝手に葉っぱを食べて一人で繭になって手間いらず・・・ではありません。
ネットを張るのは天敵の鳥や蜂から守るためですが
猿はネットの隙間から侵入、木を荒らします。
天蚕の幼虫は家蚕の幼虫の3,4倍の大きさに成長しますので食欲も並みではありません。
1本の木の葉っぱを食べつくすと別の木へ移動して食べ続けます。
ところがこの移動の際に地面を這っていると
蟻にやられたり 日差しが強いと衰弱して次の木に移る前に死んでしまう幼虫もいます。
自然界なら それが自然淘汰、というものですが
大事な売り物の天蚕ですから淘汰されるわけにいきません。
木から木へ人間が手で移してやります。
卵から孵化して繭を作るまでは目を放せないのです。
行動範囲が広い分、家蚕より手が掛かります。
家蚕は春秋の2回繭を作りますが(種類によって違いますが)
天蚕は7月半ば、年に一度だけ繭を作ります。
かつての天蚕農家で出荷できる繭の数は年間2000個程だったそうです。
これはようやく着物一反分にしかならない量なのです。
織り上がった反物は高価ですが
天蚕農家から出荷される繭の価格は労力に見合う金額ではありません。
家蚕の繭は重量で取引されますが 天蚕は粒単位で取引されました。
それでも一年で1反分の収入では後継者がいなくなったのは仕方のないことでしょう。
幼虫は大きな天蚕ですが繭の大きさはあまり変わりなく
1つの繭から取れる糸は家蚕の900~1500メートルに対し
700メートルほどです。
家蚕よりセシリンに含まれる石灰やタンニンなどの不純物が多く
精練してもあまり目減りはしませんが染まり難い性質を持っています。
風合いはとても柔らかく、
光沢がありシワになり難い復元力があります。
貴重な糸ですから経糸緯糸100%天蚕、というものはとても少なく
緯糸だけ、とか家蚕の生糸の周りに天蚕糸を巻きつけたものが多く使用されます。
広瀬さんの手おりの中の手織り、には 経糸の一部に天蚕が使われていて
細い縦縞になっています。片身変わりです。
真綿も染めていないので 光沢感の違いで 縞が浮かび上がります。
このまま 白でお召になっても良いですが
引き染めにすると 天蚕は染まらないので 縞はっきりします。
はぁ 本当に美しいのです。
日本に生まれて良かったなあ、と思えるほどに。
もちろん 他の手おりの中の手織りも 愛おしくて
あぁ 今 うちにこの子たちがいる、と思うだけで幸せです。
幸せのお裾分け、受け取ってくださる方はどなたでしょう?
他にも 東郷さんの160亀甲薩摩絣、届いてます。
これも 年間数反になってしまって・・・
出会うことも叶わなくなってきました。
160亀甲は手が届かないけど・・・
万筋や 木星、と名付けられたもの、広幅の緯絣などもございます。
木綿の最高峰、触ってみてください。
これが木綿!?となりますから。
本日も、読んでいただき、ありがとうございました。
お得と着物蘊蓄がいっぱい。
じざいや友の会。会員募集中です。
ご登録は こちら から。
友の会会員の方がBASEでお買物するとお買上金額の5%のポイントが貯まります。
毎月お得なクーポン配布中!お問い合わせに便利な公式LINEはこちら!
お友達になったら こんにちは!の一言をお願いします。
こちらからは どなたがお友達になって下さったのかお話しないと分からないので・・・。
もし今回の記事を気に入っていただければ、ランキングのクリックをお願いいたします。
さくらこの励みになりますので、どうぞ応援を宜しくお願いします。
●インスタグラムでは毎日コーデ更新中!
https://www.instagram.com/sakurako_jizaiya/
●オンラインショップ
https://jizaiya.fashionstore.jp/
https://jizaiya.yokohama/
https://www.facebook.com/JIZAIYA
●着物豆知識note
https://note.com/jizaiya_sakurako
●Twitter
https://twitter.com/sakurakojiza
●公式ライン https://lin.ee/fAaXDlK
●お問い合わせメールアドレス
jizaiyasakurako@gmail.com