とっくに単衣を着ていますけど
ものの本的には 今日からが衣替え、となります。
衣替えについて 少々お話いたしましょう。
袷から単衣への衣替えは
5月の単衣がしっかり市民権を得た感じです。
5,6年前までは なんやかやとウルサイ人がいたり
踏み切ることの出来ない方も多かったですが
この暑さには耐えかねる・・という感じでしょうか。
私も お茶会や礼を尽くす席での5月単衣は勧めませんが
自分の楽しみの着物なら 気候と体調に合わせてフレキシブルに、と思います
衣替えの歴史を振り返ってみますと
元々は宮中行事ですので 庶民にはあまり関係の無いものでした。
そもそも 木綿や絹が流通する以前の庶民は一年中麻の単衣ですし・・・
日本の衣装の流れの中では 庶民の衣替えはごく最近の出来事です。
江戸時代の武家社会は決まり事の世界で
ともかく 日常全てにおいて 様々な決まりごとがあり
その中の1つとして 衣替えがありました。
旧暦になりますが
4/1~5/4、9/1~9/8 には袷を。
5/5~8/末 までは単衣。
9/9~3/末は 綿入れを着用のこと、となっています。
綿入れから綿を抜き取ったものが袷なのです。
昔は暖房もほとんどなく 天上人意外は板の間ですから
寒さ対策に重点を置いているのですね。
袷の時期は 春の1ヶ月ちょっとと
秋には1週間しかありません。秋~春には綿入れを着ています。
それに対して 単衣は3ヶ月近ほど。
この間、盛夏には帷子(かたびら)と呼ばれる麻や上布も着られました。
明治の時代に洋装が増え 公官庁の制服も洋装になり 新暦採用で
6/1と10/1に制服の衣替えが決められました。
制服の強制的な決まりごとでの衣装交換ですから
一般市民の平服には関係ないことだったのです。
ですから 本来はもっと自由に着て良いもののはずです。
洋服の人たちが半袖なのに 袷を着ているのはとても不自然に見えます。
それに南北に長い日本で 一斉に衣替えをするのも
無理があるはずです。
20度越えたら単衣オッケー
25度越えたら 麻もの解禁、が今の現状に合っているではないでしょうか。
着物は着るもの、
無理して 我慢して着るのは楽しくないと思うのです。
でも お洒落のためには
少しの我慢や緊張感が美しさを支える、ということもありますね。
6月の晴れ間に透け感の少ない、濃い色の麻を着るのはいいけど
9月末にいくら暑くて25度を越えても
秋を感じさせる日差しの中での白い麻は
お洒落ではないと感じてしまいます。。
この辺の間合いが着物の楽しさであり 難しさであり。
また 着る人の美意識でありましょう。
着物の多様化に従い 自分はどんな着方をしたいのか
どんな着方を美しいと感じるのか。
そういう部分が大事になってきていると思います。
さて今日のご紹介は 単衣にはそぐわないのですが
可愛い総絞りです。
問屋さんの倉庫に眠っていたものが発見されました。
昭和の昔、短いけど可愛い総絞りの羽織が流行ったのです。
その頃の国産手絞りの羽尺です。
唐草模様が くるりん、としてて可愛い。
羽尺だけど・・・短いの。羽織丈で2尺3寸ほどしか出来ません。
お袖丈も1尺2寸5分。
なので 思い切って名古屋帯にしようと思います。
こんな感じ。
帯なら 私だって着ちゃいますよ(アラカンです~)
お値段も可愛くしちゃいます。
如何でしょう?
6月になれば もう夏物を考える時期です。
夏ものって帯でも着物でも 素材が多くて複雑です。
羅。絽。紗。夏紬。
絹、麻、上布、芭蕉布やシナ布などの植物繊維。
どれをいつ、何に合わせるの~??
材料や織り方で名前が変わっていくので
慣れるまで難しく感じると思います。
明日から 夏素材について少しづつ解説していこうと思います。
羅。
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