じざいや的日常 きものがたり 毎日更新！ 横浜の呉服屋からわくわく楽しいきものライフ

近頃　ご来店頂くお客様に和洋折衷コーデをされてる方が増えてきました。
着物にブーツやスニーカーを履いたり
帯の替りにベルトやサッシュを巻いたり。
私自身は　しませんが
そのような着方をされてる方を拝見するのは楽しいし勉強になります。
ほぉ・・・そうきたか、と感心することも多いです。

SNSの着姿発信などネットの影響もあり
着物の裾野人口はとても増えていることは実感できます。
街を歩いていても　電車に乗っていても
着物姿の方は確実に多くなっています。
そんな中で　着物の楽しみ方が多様化していくのは
当然のことでしょう。

私はきもの屋ですから　他の業界のことは良く判りません。
しかし　着物の二極化や折衷コーデの実体は
値段の安い、高い、だけではなく
着物に対する嗜好、ベクトルの違いを感じています。

一方にあるのは　若い方を中心としている
ファッションアイテムとしての着物。
見た目の印象が重視されて「可愛い」や「カッコいい」という
キーワードに当てはまれば
着物が作られた過程にはこだわりません。
ＧパンやＴシャツが　どこの誰に作られたのか気にならないように
着物自体の物語性を必要としていません。
着る本人が　自分を見せるツールとして着物を選んでいる、
そんな楽しみ方です。
古着＋手作り、や　反物以外の布から仕立てた着物など
既成概念にとらわれない自由な発想が持ち味です。

もう一方としては
着物という布の物語に共鳴して
布に惚れてしまうタイプの方たち。
どんな高級ブランドの服でも
その服の布地が　どこ産の繭を誰が糸にしたか、
どんな染め方、どんな織方をされたかを
語ることが出来るものはありません。
蚕が、綿花が、糸になり布になり、着物になる、という
創り手の積み重なる思いを受け止め、
布が語りかけてくる声に耳を傾けて
それを纏うことに喜びを感じる、という楽しみ方です。

どちらも着物が好きなことには変りありません。
また　同じ方が時と場合によって
着物を、楽しみ方を使い分けてもいます。
例えば　飲み会には洗える綿やポリの着物でも
お友達とちょっと贅沢なランチには
作家ものの着物で出かける、というような。
着物が身近だから　使い分けも出来るのです。

流動する着物を
一時の和ブーム的な流行に終わらせるのではなく
生活の中に定着したものに
昇華させなくてはいけません。
今　本当にモノづくりが消えつつあります。
高齢化に伴って　入院、ケガ、介護・・・で機の前に座れない現状があります。
着てくれる人の喜びのために、という矜持も
着てくれる人がいなくては成り立ちません。
技術を若い人に繋いでいく、というのも
需要と供給の前では　絵に描いた餅になりかねません。

現場は本当に疲弊していて
先が見えない不安と諦めが重くのしかかっています。
打開策は　着物を着ること、買うこと、楽しむこと。
その一端を　じざいやが担えたら、と思っています。

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本場の地機の結城を仕入れたのは１年振りかも。
その軽さに　これが本場！と感動しました。
やっぱり本物は違う。。
この結城を見て　最初に乗せたい、と思ったのが
山本由季さんの　バイオリンの木で染めた帯。
結城の中の細いピンクのラインが　この帯とリンクするはず。