お盆も終盤で ようやくお天気も安定してきたようです。
少しだけ秋めいてきた気がします。
このまま 涼しい秋になればいいのに。
秋になると なんとなく手が伸びるものが 更紗と刺繍です。
夏には ちょっと暑苦しく感じるからでしょうか。
仕立上がりの帯の中に刺繍のものがいくつかあるのですが
どれも 垂れに「百」と刺繍してあります。


箸尾百亭。
その名前を聞いたことのある方は 着物業界では古株の方になると思います。
なんせ 明治29年生まれ。
当時の文部省の帝国美術展覧会の入賞常連者で
昭和13年のパリの万国最高美術博覧会で金賞受賞。
全国刺繍同業者組合連合会幹事長。
まだ重要無形分文化財が成立していなかった時代ですから
人間国宝の制度があれば 確実に人間国宝ですね。
刺繍の遍歴は
江戸時代の末期に町人文化が栄え、刺繍も盛大な盛り上がりを見せたものの
明治維新、日清戦争を経て壊滅的状態になっていきました。
箸尾さんは 体格に恵まれず 士官学校に行けなかったので
箸尾さんのお兄さんが経営していた刺繍専門家の養成学校へ。
そこで頭角を現し 明治末期からの日本刺繍の勃興期を作り上げていきました。
刺繍はエジプトで生まれて 中国を経由し日本へと渡ってきました。
日本刺繍の手法としては150種ほどが定着していましたが
箸尾さんが 350種ほども開発したと言われます。
「なんにために、新しいかたを考えるのか。
絵や陶芸と同じです。自分の表現したいものがあって、
そのためには、今までの方法では足りんかったからです」
大正時代に 千總や高島屋が ロックフェラーやカーネギーを相手に
刺繍の額や小物を販売していた貿易の一端を担っていたのです。
箸尾さんの刺繍には独特の色調と
糸使い、デザインがあります。
糸に縒りを加えたり 真綿糸や紬糸を使ったり
時には糸だけでなく鳥の羽根なども縫い込んだ独自の世界です。
既に工房も途絶え、その技を継ぐ人もいなくなりました。
京都でかつて 箸尾作品を一手に引き受けていたメーカー問屋さんが
最後の作品をいくつか手元に残していたのですが
その問屋の社長さんも病に倒れほぼ廃業状態です。
垂れに落款替わりに刺繍された「百」の文字が
箸尾さん、及び 箸尾工房の作品の証紙替わりになります。
じざいやで販売していた 百亭工房の作品が
仕立上がりで出戻ってきました。
着用回数は 数回の美品です。
百亭工房刺繍袋帯 鳳凰
金銀糸入らないのに こんなにゴージャス。
この帯を 黄八丈に合わせるのが大好きでした。カッコいいのなんの。
かつて 青山みとも と じざいやでのみ 扱っていた 百亭さんの刺繍。
みともでは 袋帯で80万円~だったそうです。
色留袖や訪問着にももちろん、艶感のある黄八丈や座繰り糸の紬にも。


華やかに舞う蝶の群れ。青磁色の綴れ地の袋帯です。
もうね、短く名古屋帯に仕立て直しても良いと思うのです。
ちょっとだけ金銀糸使ってますが 綺麗系紬や紬訪問着にも。
江戸小紋や付け下げ、訪問着にも。
ここでは 牛首紬に合わせています

極小粒の相良刺繍。粒の小ささもさることながら、方向が揃っているのも凄いです。
狂いのない手仕事。

着物で刺繍というと スワトウや蘇州があります。
やはり中国も手仕事の細かさは凄いです。
でも 着物には日本刺繍が似合うと思うのです。

八寸もあります。こちらは いかにもカジュアルタイプで
紬地に田園風景。田んぼですね。 紬や木綿にどうぞ。
ここでは 霜垣さんの草木染縞紬に合わせました


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